「確かに意外かも。社長って、いつも穏やかだもんね。ふわふわしているって言うか。裏ではかなりの傲慢な所もあるとか噂あるよね。それも、ギャップで素敵」
「それわかる。良いよね。彼女さんが羨ましいよ」
(い、居た堪れない…)
個室から出て、手を洗い足早にトイレを出る。
こう言うことも、これから気をつけないといけないよね。街で誰に会うかわからない。
変なところを見られて、凛太朗さんの評価を下げるような事にならないように。
そう思い更衣室に戻る。またスマホを取りメールや電話が来てないか見るが、やっぱりない。
私からしてみようかな。
待っているだけなんて、だめだよね。メールを送るくらいなら…いいよね。
壁に寄り掛かり、凛太朗さんの名前を探すと声を掛けられた。スマホから目を離せば、そこには針谷さんの姿。
「あっ…針谷さん」
「お疲れ様です。今朝、何故お一人で会社に来たのですか?ご連絡してもなかなか繋がらなくて心配しました」
いつもの時間より、1時間も早くマンションを出た。その為、針谷さんに迎えに来てもらうのは悪い気がしたのと、1人になりたかったから。


