その後、ご飯を食べ終わると私はトイレに行く為主任と別れた。


スマホを片手にトイレに向かう。今だに、凛太朗さんから連絡はない。主任の話だと、会社には来ているみたいだけど…


突然たずねることは出来ない。もし、お客様とかいたら迷惑だろうし…この時間は目立つ。

とりあえずポケットにスマホをしまう。トイレのドアを開ければ先客が2人。お疲れ様です。と、声を掛けて個室に入った。


「そう言えば、昨日仕事終わりに彼氏とデートだったの」

「そうなんだ。どこに行ったの?」

「駅前の映画館。その帰りにさ、桐生社長を見かけたんだ。女の子と一緒だったよ」


「…えっ」

社長の名前に思わず声が出そうになり、慌てて口を塞いだ。


「ふ〜ん、彼女かな?」

「そんな感じだったよ。暗くて顔はよく分からなかったけど。あ、でも…なんか喧嘩してる雰囲気だったの」

「別れ話?」

「ううん、最後は社長が彼女の手を握ってタクシーに乗って何処かに行っちゃったの。王子様でも喧嘩とかするんだなぁ…って」


「………っ」

(し、しまった…見られていたなんて。でも、あんな街中で言い争いをしたんだ。見られていても無理はないよね…)