凛太朗さんの言う事は間違っていない。

彼の言う通り、私は間違っていた。最初から、迷わずに話せば良かったんだ。

凛太朗さんに聡くんとの事、全部話せば良かった。怪我をした時も、電話で言えば良かった。


今更後悔なんてしても遅いのに、沢山の後悔の言葉が溢れてくる。

そして、何よりも…

勢いでした結婚。その重みを私は分かっていなかった。覚悟したって言っていたけど、本当の覚悟なんて何にも出来ていなかったんだ。


それなのに、凛太朗さんだけは違った。

凛太朗さんは普通とは違う結婚でも私を大切にしてくれて、家族になろうとしてくれていた。

その思いの大きさと比べて、私の思いはちっぽけなものだった。

あんなに大切にしてくれた。凛太朗さんが私を大切にしてくれていたのは身に染みて分かっている。

私は馬鹿だ。最低だ。

溢れ来る涙を何度も手で拭う。何度も、何度も…拭っても泪は止まらない。

追いかける勇気もなく、ただ立ち尽くして子供のように泣いているとドンッと身体が人にぶつかった。

前のめりに身体が傾き、急いで片足を前に出す。謝罪の言葉もなくその人は去っていき、何故かふと我にかえった。

まるで1人残された世界から現実に戻された気分。