でも、それを言えば志田さんがもっと怒るのは分かっていた。
以前にも今のような事があり、攻め立てられた人がいた。
もう辞めてしまったけれど、その子が反論した時、志田さんは荒れ狂ったように取り乱したのは記憶に新しい。
穏便に済ませるためにも、我慢するしかない。
「申し訳ありません…」
唇を噛み締め足元をみる。
「本当に。気が使えないわね。責任とって、系列ホテルから予備を貰うことになっているから、仕事が終わったら取りに行きなさい」
「はい。わかりました」
そう返事をすると今まで黙っていた主任が手をパチンと叩く。
「じゃあ、みんな!村瀬さんが取りに行くらしいから安心ね。でも、これは責任問題です。村瀬さん、しっかりしてよね。あ、では、本日のミーティングをしましょう」
「……はい」
「はーい」
いつものミーティング。主任がその日のチェックインとアウトの数などを口頭で説明する。
その時、私はまともな気分で聞く事は出来なかった。
睡魔も覚め、今にも泣きそうな気持ちをグッと抑え込むだけで精一杯。
話なんて頭に入っているようで頭に入ってない。とにかく一刻も早く此処から去りたかった。
ミーティングが終わるなりまたトイレ掃除だと言いつけられた為、駆け足で台車に掃除用具をのせ、誰よりも早く持ち場に向かう。
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