「あなた、どういうつもりなの?」
目を釣り上げ、私を睨みつける。低い声を更に低くして威圧的な態度に驚きを隠せない。
志田さんを怒らせるような事をした覚えは全然ない。
チラリと周りのスタッフに視線を向けるとあからさまにそらされる。
「あなたさ、なんで自分が怒られるのか分かっているの?」
「あっ…も、申し訳ありません。えっと…何か私に不手際がありましたか?」
当たり障りのない言葉を並べる。志田さんは腕を組み、舌打ちをすると今一度テーブルを叩いた。
「あなた、昨日、きちんと在庫をみて帰ったの?」
「はい。もちろんです。トイレの芳香剤の在庫が残り2ケースのみでしたので、発注の電話を掛けておきました」
掃除用具である洗剤などの発注は、基本的にその場所を担当した人が残り少なくなると発注するルール。
私はずっとトイレ掃除のため、トイレ用具の在庫チェックは毎日欠かさず行っている。
私の他にトイレ掃除はアルバイト。アルバイトの彼女達には任せてはダメだと習っていたから、私が休みに入る事も考えて発注している。
漏れがあるなんて事は絶対にないのに。