「大丈夫だから。食べよう」


促され一口食べる。すると社長は着ていたスーツの上着を脱ぐ。ネクタイを緩めて、腕をまくると高級な腕時計と血管が浮き上がった逞しい腕が見える。


いい腕してる。つい視線が行ってしまい、変態っぽい感じがして視線を逸らす。


「じゃあ、俺もいただきます」

包み紙を外して食べると数口噛んでから突然片手で口元を覆った。


身動きを止め、ハンバーガーをジッと見た後に私を見る。


(え、な、なに?!も、もしかして)

「ご、ごめんなさい。やっぱり社長の口には合いませんよね!別のお店に行きましょうか?私が奢りますので」


「いや、違うよ。寧ろ…美味しい…これ」

「……え?」

「このソースは相当研究を重ねた品だね。野菜も新鮮で栄養的なバランスもちょうど良い」


「そ、そうですか?あれ…それなら良かったです」

(なんだ。美味しくないのかと思っちゃった)