私が駆け足で辿り着いた場所。



そこはまだ営業時間前で、準備中のキャバクラが立ち並ぶ夜の通り。



その中の表の看板に『Datura』と店の名前が書かれている店の前に来た。


私はドアを押して駆け込んだ。


「お客様、申しわ……って凜藤さん!」


突然入ってきた私に驚いたのは、この店の黒服である李さん。


テーブルを拭いていた手を止めて、口を尖らせた。


「凜藤さん!いい加減、裏口から入ってくださいと何回言ったらわかるんですか!」


「だって、あっち臭いんだもん。」


裏口には、毎日店から出たゴミを出すために集められたゴミ袋がいっぱいあるんです。


はい。

マジで。


「次からは気をつけてくださいね。」


「おうよ!」


毎日こんな感じの会話をして店の奥に入ってく。