「クジラさんのおうちはどこ?」


「ううん、思い出せないな」


クジラは自分のことをすっかり忘れてしまっていたのでした。
どこに住んでいたのか、どんな名前だったのかもわからないのです。


「でも、どこかに行かなきゃいけない気がする」


「じゃあ、思い出すまで一緒にいようよ」


ネモはクジラをおうちに連れて帰ることにしました。
そして一緒におふろであたたまりました。


それからは、クジラは自分のおうちを思い出すまで、ネモと一緒に暮らすことになりました。
いつもおふろ場の湯船に浮かんでいて、ネモのためにシャボン玉を吹いてくれるんです。


だって、綿あめばっかり吹いていると、ネモが虫歯になっちゃいますからね。