フライトの2時間前に送られてきたメール。

「…すまないが、そのメール、私の携帯に送っておいてもらえますか?」

ルイの言葉に、秘書は頷き、直ぐに送ると、そのメールを削除する。

…その他にも、彼女からのメールは全て、ルイの携帯に転送し直した。

ルイの落胆のしように、もしかしたら、全部見ていないのかもしれないと思ったから。

「…社長」
「…何ですか?」

「…社長が、こんなに大事なメールを見落とすことなどないと思います。…澤田様が、もしかしたら、何か知ってるかもしれません」

秘書の言葉に、ルイは、大きなため息をついた。

…秘書に礼を言い、ルイは社長室に戻ると、携帯のメールを確認していく。

体を気遣うもの。

大好きだと言う言葉。

会いたいと、ただ一言書かれたもの。

こんなにも沢山のメールを送ってくれていたのに。

ルイは一つも返事をすることが出来なかった。

…いや、これがなくても出来たはずだった。

どんなに遅い時間になっても、電話でもメールでも出来た。

真夜中に、会いに行くことだって出来たのに。

「…美々…美々…ゴメン」

今すぐ彼女の傍に飛んでいきたい。

謝って、抱き締めて、ずっと好きだと、愛してると言いたい。

嘘ではない、本当の言葉で、結婚しようと言いたい。

だが、彼女がいまどこにいるのか、ルイはわからない。

わかるのは、彼しかいない。