「お母さん、行ってきます」



「結芽、薬持った?」



「うん、持ってるよ」



「気を付けて行ってらっしゃい」



私は通学路を一人で歩いている。


私は夜桜結芽、今日から白雪学園の高校一年生だ。


周りは友達と通う人が多い。


別にうらやましくもないし、何とも思わない。


友達はもちろんいたけど本当のことを知ったらみんな離れていく。


本当のこと・・・心臓病のことだ。


拘束型心筋症という難病で私の場合は心臓移植しかないそうだ。


心臓移植をしなければ余命は二年だと先生に言われた。



「はぁ・・・」



「結芽、元気ないな」



「おはよう。真夜」



話しかけてきたのは闇藤真夜、幼馴染だ。


私の病気を知っていていまだに仲良くしてくれている。


同じ今日から高校一年生だ。



「相変わらず一人だな」



「それを言いに来たの?」



「そういうつもりじゃないが・・・友達、作んないの?」



「いらない」



「せっかく美人なのに」



「けなしてるの?」



「褒めてる」



真夜は苦笑している。


不愛想なのはいつもどうりだ。



「一人で登校して発作で倒れたらどうすんの?」



「さぁね」



「本当、心配だ」



「そう?」



「今日一緒に帰ろ。校門で集合な」



「はいはい」