「ううん、起きてたよ。」




横にしていた体を起こすと、春翔は慣れたようにベットの横にある椅子に座った。




「私、どのくらい眠ってた?」


「2週間くらいっすかね。1回起きて、また3日寝てました。」


「…そっか、」




寂しそうに笑う春翔を見ているのが辛くて、私は目を逸らした。


春翔にそんな顔をさせているのは、私なのに。




「桃さん、」


「ん?」


「喜蓮って知ってます?」




少し沈黙になった空間を破ったのは春翔。


真剣な顔で何を聞いてくるのかと思えば、そんなことを聞いてきた。




「何言ってんの?喜蓮は春翔たちでしょ?」


「わかるんですか?」


「わかるよ。それがどうしたの?」




春翔、どうしちゃったの?


いつもの春翔は大人で、優しくて、余裕がある、そんな人。



だけど今は何かが違う。


彼の何かが違う気がする。




「…総長は?」


「え?」


「喜蓮の総長…って、誰かわかりますか?」