【桃side】
目を開けると白い壁。
鼻にツンとくる消毒の匂い。
…さっきと同じ。
ゆっくり体を起こすとさっきと同じ部屋。
可愛く飾り付けされてある病室。
そう言えば頭痛くて気失ったんだ…。
あいまいな記憶をたどりながら、私はもう一度ベットに横になった。
芽衣、泣いてたなぁ…。
あんなに目を腫らした芽衣、初めて見た。
どうして泣いていたんだろう…。
あと、おばあちゃんにも会いたい。
きっと家に一人ぼっちで寂しがってる。
早く帰りたい。
目を瞑ってボーッと考えごとをしていると、ゆっくりと扉が開いた。
「桃さん、」
「…春翔?」
体を起こさず、入ってきた人物も見ないでいると降ってきた声。
これは春翔の声だと思う。
「起こしちゃいました?」

