「芽衣。」
そして私のことも、可愛らしい笑顔で笑って呼ぶ。
ねえ、桃。
戻ってきて。
神様、いるならばお願い。
桃を返して。
お願い…。
「…い、」
………
…
「…こんなとこで寝てたら風邪ひくよ。」
「ん…?」
いつのまにか、私は桃のベッドに伏せて寝ていた。
なんだ…、夢か。
前に見える誰かを把握しようと目をこすると、あっけらかんな表情をした桃がいた。
…え?
「桃?」
「ん?」
ずっと待っていた声がやっと返ってきた。
何度話しかけても答えてくれなかった声が、今聞こえる。
次第に目にジワジワと浮き出る涙は、溢れ出した。
「桃…!」
私は桃が病人だと言うことを忘れて、思いっきり抱きついた。
それを笑って抱きしめ返してくれる桃。

