毎日桃の部屋に行くけど、起きる気配はない。
だけどずっと桃の側にいたい私は、折り紙やお花で部屋を飾り付けした。
桃が起きたら、喜んでくれるように。
眠る桃を見つめて、“起きて”と何度も願いを込める。
「桃…、いつまで寝てるの…。」
桃が運ばれてから2週間目の土曜日。
いつも通り、朝から桃の部屋にいた。
喜連のみんなは本格的に本祭が近づき、ここに来る余裕は少しずつなくなっていた。
「まだ起きないの…。」
相変わらず病室に響くのは、私の話しかける声と桃を繋ぐ機械音。
食べることも寝ることも出来なくなっていた私は、正直限界だった。
「桃…、」
そんな時、夢をみた。
私をいつもみたいに呼ぶ桃。
可愛らしい笑顔や仕草に、笑って言うことをきいてしまう。
それを見て笑う龍也と春翔。
そんな彼女を愛おしそうに見つめる奏多。
「ねえ奏多!」
大好きな人をとびっきりの笑顔で呼ぶ桃は、いつも通りの桃。

