意識は朦朧としているのに、考えることは冷静な頭。


どんなに力を振り絞っても、開くことのない目。



死ぬかもしれない。


初めてそう覚悟した。



死ぬなら最後に奏多の顔を見たい。


声だけじゃ物足りない。




「春翔!救急車!」


「はい!」


「桃!桃!」




私は奏多のその声を最後に、意識を手放した。