3人で肩を並べて入り口まで歩いて、もうすぐ開いている大きな扉に着く。


そんな時、気になって私は何となく後ろを振り返った。



でもやっぱり後ろには何にもないし、誰もいない。


気のせいかと振り返ろうとした時、鉄パイプを持った男が、左から歩いて来るのが見えた。


私が真ん中にいて、左に奏多、右に春翔。


男は私と目が合うと、一気に走り出した。


と同時に私の体は勝手に動いた。



鉄パイプが上にあげられた時、「間に合った」と自分の中で紐が緩んだ。


左側にいた奏多を押して、私は男の前に立つ。


ドンと痛いか痛くないかの衝撃を受けて、その場に崩れ落ちた。



もう前が見えない。


目の前は真っ暗。




「桃!」




奏多の焦った声が耳に届く。



…守れた。


奏多のこと、守れた。




「桃!桃!」




私を抱えて、何度も名前を呼ぶ奏多。


焦った奏多を感じるのは初めてで、そんな彼を見てみたいと思った。