たまにサボることもあるけど、その時には必ず綾瀬が俺を呼びにくる。
細い腕で、俺を教室まで引っ張り席に着くまで自分の教室には帰らない。
龍也は立花に夢中で、最近仲良くなり始めたらしい。
一緒にいると、あいつの話ばっかしてる。
だけど俺も、気づけば綾瀬をどんどん好きになっていた。
一緒に帰ったり、飯食ったり。
あいつの笑顔を誰にも見せたくないとかも思ったりしてた。
「綾瀬いる?」
「桃ちゃんならさっき…、「瀬崎くん!」」
昼休み。
綾瀬の顔が見たくなった俺は、あいつのいる1組に足を運んだ。
近くにいた女子に聞いてみるも、その女子の声を遮る声が廊下から聞こえた。
「桃が!」
「なに?」
「来て!連れて行かれた!」
俺を呼んだのは立花だった。
普段からは見れない焦った表情で、俺に何かを訴える立花。
言葉が出てこなかったのか、どこかへ着いてこいと言ってきた。
あいつ、また何かされてんのか?

