「おいで。」
携帯を机に置いて、私を呼ぶ。
甘いよね。
本当、甘い。
洗脳されるように奏多が座るソファへと足を進める私。
足を広げて座る奏多の上にちょこんと座った。
「奏多、」
小さく名前を呼ぶと、優しく降ってくるキス。
何度も角度を変えてするキス。
…おかしい。
何回もしていることなのに、胸がキュッとなって慣れないなんて。
ぎゅっと奏多の手を握ると「大丈夫」と言わんばかりに優しく握り返してくれる。
「ん!んんん!」
「ははっ、」
呼吸に余裕がなくなった私は、奏多の胸を叩いた。
これもいつものこと。
それに笑って解放してくれる奏多。
「桃、今日化粧薄くない?」
「浴衣行った時にしてもらった。」
「こっちの方が可愛いよ。」
「じゃあ一生これにする。」

