それは、中学2年の秋。
いつも通り、屋上で龍也とサボっているとガチャっと開いたドア。
こんなところに平気で来るのは1人しかいない。
「おう。」
龍也が片手を上げて挨拶をしたのは綾瀬。
いつも笑って入ってくるのに、今日は真顔。
口角の一つも上がってない。
「怒ってんの。」
「怒ってるよ!」
俺が聞くと、ムッとした表情で返事を返してきた。
まったく。
何に怒ってんだか。
「何で授業出たことないの!」
「…は?」
こん時は目が点になったよ。
俺と龍也は、そんなことを言われるとは思ってなくて声が揃った。
俺らのために怒ってんのか、こいつは。
「授業出なきゃダメだよ!」
タバコを吸う俺と、ゲームをしている龍也。
こぼれに落ちこぼれた俺らにこんなこと言ってくれんの、こいつだけだろうな。

