「瀬崎くんも。」
少しだけ離れたところに座っていた俺を覗き込んで、そう言った綾瀬。
それすらも可愛いと思ってしまう俺は、もういかれちまってる。
それから綾瀬は、たびたび屋上へ来るようになった。
ピタリと止んだ嫌がらせと、無視。
あいつは前と同じ、明るくて元気な姿に戻っていった。
「綾瀬、」
たまにあいつの教室へ行って、元気か確認しにいく。
机で何かしている時や、友達に囲まれている時。
寝ている時や、携帯をいじっている時。
「奏多!」
いつの間にか、俺を下の名前で呼ぶようになった彼女。
呼ばれる度に、奏多という名前でよかったと思う。
「じゃあな。」
「うん!ありがとう!」
軽く会話をして、チャイムが鳴るとすぐにバイバイする。
本当はサボって一緒にいたりしてーけど、あいつにそんなことさせられねーし。
だけど、こいつは悪やってた俺の性格や環境を180度変えてくれることになる。

