「ごめん…。」
「何が?」
「先生に…、瀬崎くんをこんなやつ呼ばわりさせて。」
教室を出た後、屋上に向かった俺たち。
階段を上っている途中に、何を言うかと思えばそんなことか。
お前は本当に優しいやつなんだな。
「いいよ、そんなの。」
「私は思わないよ。」
「え?」
「私はそんなやつだなんて思わない。」
真っ直ぐな目をした綾瀬は、俺を見てそう言う。
「だって、助けてくれたじゃん!」
そのあとに、俺の知っている笑顔で笑った。
「よく頑張ったな。」
俺はそんな綾瀬の髪をクシャクシャっと撫でた。
すると今度は照れ臭そうに顔を赤める。
なんだ、可愛いとこあるじゃん。
「泣いたり笑ったり照れたり、あんた忙しいね。」
「そ、そ、そ、そんなことないし!」
思ってたやつとは違った。
真っ直ぐで、素直で、優しいやつ。

