廊下で俺の一歩後ろを歩く綾瀬。
お前は悪くないんだから、胸張っとけ。
「あんたさっき、自分といたら嫌われるって言ったよな。」
「…うん、」
「俺も同じだよ。」
「え…?」
「助けてやるから、あんたも俺のこと信じてくれよな。」
こいつの悩みは俺しか知らない。
俺しか支える人がいない。
居場所を与えてあげれるのは俺しかいない。
じゃあまずは、信頼関係から教えてやらねーとな。
「言われなくても信じてる。」
「よし、行くぞ。」
少し笑顔に戻った綾瀬の手を引いて、俺は3組の教室へ足を進めた。
目的の教室について、「よし」と覚悟を決めた綾瀬。
俺は隠れていればいいと言ったのに、こいつは大丈夫と深呼吸をした。
自分なりに、強くなろうとしてるんだろう。
ガラガラっ、
授業真っ最中に開けたドア。
ザワザワしていた教室が一瞬で静まる。
「竹田、ってどれ?」
男子は俺が来てシンと静まり、女子は俺を見てキャアキャア騒ぐ。

