俺は反論しようとする綾瀬を通り過ぎて、先に教室への廊下に足を進めた。
俺、バカだなぁ。
こんなやつ好きになっちまうなんて、敵多すぎね?
それから、綾瀬を家まで送って電話番号の書いた紙も渡しておいた。
自分でも何してんだろうって思った。
本当、何してんだろう。
帰っている途中も、泣いていた理由は話してこなかったけど、本人が話したくないならそれでいい。
「おい奏多。」
「んー?」
「お前、昨日綾瀬と帰ったんだってな?」
次の日。
学校へ行っている途中、龍也からしれっとそんなことを言われた。
情報はえーなー…。
「どうやって帰ったんだよ!おい!教えろ!」
「会ったから帰っただけだよ。」
隣で騒ぎだす龍也を無視して、タバコに火をつける。

