放課後、久しぶりに先生に呼び出された俺は素直に職員室へ向かった。
その行き道に聞こえてきた女の泣く声。
やっぱ女ってめんどくさい。
だけど、その泣き声は屋上から校舎への階段に続いていた。
そこを通らないと、俺は帰ることができない。
面倒とイライラが込み上がってきながらも、チラっと階段を覗いてみた。
「…は?」
見間違えるはずもない。
そこには膝を抱えて小さく泣いている綾瀬がいた。
しばらく階段の踊り場で、あいつに見られないように待っていた。
泣き止んだのはいいものの、そこから動こうとしない。
これは行っていいのだろうか。
いや、きっと俺は泣いているのが綾瀬だから躊躇しているだけであって、他の女だったら見向きもせずに横切っている。

