結構可愛いじゃん。
「な?可愛くね?」
「全員同じだろ。」
「お前ってやつは本当に。」
そう龍也に言っている間も、俺は綾瀬から目を離せなかった。
多分、これが一目惚れってやつなんだろう。
あんなに女が嫌いだった俺が一目惚れなんて、ダサい話だけど。
母親はクズで、姉貴は高嶺の花。
100か0かしか知らない俺は、気づけば女が嫌いになっていた。
すぐ泣くし、都合はいいし、おまけに変な要領だけは冴える。
面倒くさいこの生き物に、俺はせいせいしていたのに。
綾瀬 桃。
この女1人に感情を左右されるなんてな。
だけどそれから、あいつとは関わることなく俺は中学2年になった。
たまに行く学校で、あいつを見かけると決まっていつも笑っていた。
だけど、そんな笑顔の裏を俺は知ることになる。

