俺はそれだけでよかった。


信じる相手をつくるだけ無駄。


時間も、俺自身も。




「いや、やっぱ綾瀬かわいーわ。」


「飯食いに行こーぜ。」




龍也は、隣で体育をしている綾瀬をまだ見ている。



授業をサボるのは当たり前。


タバコを吸うのも、基本的な悪さをするのはいつからか俺の当たり前になっていた。



いわゆる、不良ってやつか。


喧嘩をしても、どいつもこいつも弱いやつばっかりで相手にならない。


唯一、ためを張れたのは隣にいるこいつくらい。


ヤンキーな姉貴に鍛えられた俺からしたら、まともに喧嘩できるやつなんていなかった。




「何食う?」


「なんでもー。」




吸っていたタバコを地面に押しつけて、立ち上がった俺に、龍也も続いて立ち上がった。



授業中である廊下を平気で歩く。


教師は見て見ぬふり。


もう、呆れられてんだろうけど。


でもそれでいい。