奏多と龍也の次に喜連を仕切れる力を持っている、1年生唯一の幹部。


見た目は可愛らしくて童顔だけど、中身は喜連の誰よりも大人かもしれない。


そして、彼は誰よりも奏多を尊敬している。




「奏多さん、俺も上行って来ます。」


「おう。」


「桃さんも、また。」


「またね。」




気遣いだって出来る優れもの。


さすが春翔。


シュウトを連れてこの部屋を出て行き、私と奏多だけにしてくれた。



挨拶をしてササっと出ていった春翔を見送り、この部屋には奏多とふたり。




「かーなたーっ、」




ついつい心の声が漏れてしまった私は、そう言って距離のあった奏多へ近づいた。


抱きつこうと手を伸ばすと、腕をグッと引っ張られて抱き寄せられる。


ギューっと抱き寄せられた体は、もう離れられない。


私の肩に顔を埋める奏多は、いつもより弱気だった。