「もう…会うのやめよう…。」




こう言う時に限って、ちゃんと上手く話せない自分の弱さに呆れる。




「何だよそれ。」


「…私、好きな人できた。」


「…は?」




嘘だよ。


私はあなたが好き。


出会った時からずっとずっと、好きだった。




「誰だよそれ。」




私の腕を掴んでいた彼の力は、どんどん強まっていく。




「奏多くんには、関係ないでしょ?」




耐えて。


泣いちゃダメだよ。


自分で選んだでしょ…?




「だから、もう…、」




‘‘ だからもう会うのやめよう ’’


そう言いかけた時、私の口は彼の唇で塞がれた。


目を開けば、ドアップでうつる綺麗な顔。


フッと香る、甘い香り。