その後だんだんと人だかりは散って、私と奏多くんだけになった。




「どうする?帰る?」




気を遣ってそう言ってくれた奏多くん。


本当はとてもムカつくし、悔しくてショックで帰りたい。


だけど奏多くんと文化祭を回りたい気持ちの方が大きいなんて、おかしいのかな。




「…る、」


「ん?」


「回る…。」


「よし、じゃあ行こ。」




一歩先に出た奏多くんは、私に手を差し伸べる。


大きい手。




「うん!」




素直にその手に捕まり、彼の隣に肩を並べた。