それでもある朝、暮羽が10歳の頃。 小学校から泣きながら帰ってきた。 理由を聞くほど、顔を俯いたままで 自分の部屋に入った。 そっとしておこうと思っていたが、 私も姉であり、人間だ。 少しの好奇心で部屋を覗いた。 暮羽は、いや暮羽が笑っていた。 わたしは、はじめてたちすくんだ。 それ以来、笑顔を見ていない。