その手が離せなくて


「事実なのか、君に確かめたい」


カチカチと、音がする。

壁にかけられた時計の音だろうか。


私の時間が終わっていく音だと思った。

一秒進む度に、私の未来が暗くなっていく。


言葉が見つからない。

なんて言えばいいかも分からない。

あがけばあがく程、自分の首を絞める様な気がした。

醜い言い訳をしたら、もっと自分を陥れる気がして弁解の言葉が出ない。


それに、さっきと同じで言い訳や逃げ道はもはや彼女に絶たれている事だけは分かる。

あの、目も覚める様な綺麗な女性に――。


「・・・・・・事実、です」


まるで消え入りそうな声でポツリと言葉を落とした瞬間、部長の深い溜息が聞こえた。

まるで呆れているかの様な、絶望している様な。

ふと視線を上げると、片手で両目を覆っている姿が見えた。


「本当・・・・・・なんだな?」

「――申し訳、ありません」


両目を覆ったままの部長に、頭を下げる。

もう、そんな言葉しか見当たらなかった。