その手が離せなくて

「今日その真意を望月に確認するって、部長が」


目眩がしそうになる中、ぐっと両手を握る。

逃げ道が無くなったように感じて、再び頭が真っ白になる。


きっと、もう言い訳は通用しない。

逆に言い訳すればするほど、泥沼にはまっていくだろう。


もう、逃げられない。


そう思った瞬間、体の力が一気に抜ける。

そのままどこまでも崩れ落ちて壊れてしまえと願う。


「先輩」


小さく呟いた声は、届いていただろうか。

それでも、そんな事気にせずに伏せていた瞳を持ち上げる。


「私の事、軽蔑します?」

「――」

「人のものを取った私を、軽蔑しますか?」


天罰だと思った。

誰かから奪ったのだから、自分のものも奪われていく。

今まで私が積み上げてきたもの、すべて。

だけど、それがこの罪の重さだと思った。


「軽蔑、してください」



私はきっと、すべてを失うだろう。