その手が離せなくて

その言葉に、鈍器で頭を殴られたような衝撃を受ける。

今にも足元から崩れ落ちそうになる中、グッと拳を握って口を開く。


「……どうして、そんな事聞くんですか?」


今にも震えそうな声で、そう言う。

平静を装っているけど、心の中はグラグラと揺れていた。

指先が一気に冷たくなって、逃げ出したい気持ちになる。

何か言い訳を。

何か――・・・・・・。


「一ノ瀬さんの奥さんから、昨日電話があったの」


必死に頭をフル回転させて言葉を探していたのに、その言葉で一気に頭の中が真っ白になった。

思わず目を見開いた瞬間、ひゅっと喉の奥が鳴った。


「それで、望月と一ノ瀬さんがそういう関係だから、仕事で二度と会わない様にプロジェクトから外してほしいって」

「わ、私を・・・・・・」

「直接一ノ瀬さんと関わっているわけじゃないけど、一ノ瀬さんの会社へ行く様な事は無くしてほしいって」


淡々と告げられる言葉に、息が止まる。

次々に閉ざされていく扉に、世界が真っ暗になっていく。