「ばっちり」


お気に入りの口紅をつけて、にっこりと笑う。

いつもの何倍も時間をかけて、化粧もヘアセットも終えた。

不器用ながらに髪の毛も綺麗に巻いて、彼に釣り合う様にした。


待ちに待った日だった。

何よりも楽しみにしていた。

窓の外に目を向ければ、緑の木々が風に揺れていて、その隙間から青空が見えた。


「晴れて良かった」


何度も何度も携帯で天気を確認していた日々。

まるで遠足を待ちわびる子供みたいで、自分でも可笑しく思った。


じっと座っていれなくて部屋の中をウロウロしていた時、不意に携帯が着信を知らせる。

飛び跳ねる様に振り返って、ベットの上に置いてあったソレを掴んで耳に当てる。