「どこ待ち合わせにしようかな」

「車で行くから、近くまで迎えに行く」

「一ノ瀬さん、免許持ってるんだ」

「一応な」


互いに抱きしめあいながら、話す。

初めてのデートに、胸が高鳴って仕方ない。

楽しみで楽しみで、未来がキラキラと輝いている。

今日の朝まで感じていた悲しさや辛さが一気に溶けていく。


「ふふっ、楽しみ」

「まさか、こんなに喜んでくれるとは思ってなかった」

「だって、初めてじゃない?」

「まぁ、1日一緒にいるのは初めてかもな」

「ありがとう、一ノ瀬さん」

「埋め合わせさせてって言ったのは俺だから」


彼が私の為にくれた時間。

彼が言う様に、彼とならどこに行こうが幸せだ。

私を想って考えてくれたプランなら、それだけで幸せ。


「楽しみにしてるね」


ギュッと一度彼の背中に回した腕を強く引き寄せて、そう言う。

今にも飛び跳ねたい気持ちを抑えながら。