「柚葉」


じっと私を見つめていたビー玉の様な瞳を微かに細めて、彼が私の名前を呼ぶ。

ん? と小さく首を傾げると、彼は私の瞼にキスを落とした。

そして。


「再来週の土曜日、空いてる?」

「再来週?」


突然の申し入れに頭の上に?マークが飛び交う。

そんな私を面白がる様に、一ノ瀬さんはクスクスと小さく笑った。

そして、私の両頬を大きな手で包み込んで――。


「デートしよう」


そう言って、まるで悪戯っ子の様に口端を上げた彼。

その姿をポカンとした顔で見上げる。


「空いてない?」

「――・・・・・・い、今なんて?」

「え?」

「今、なんて言ったっ!?」


今度は一ノ瀬さんが私の言葉に首を傾げる。

それでも、私は高揚する心を押さえきれずに、前のめりになって声を上げた。