セピアの世界

○あれから

彼女が不参加の
焼き芋大会。
毎年恒例で
2度目になる。

彼女のお母さんの
手術は成功した。

彼女は出発してすぐ、
お母さんの付き添いと
語学学校での準備をこなして。
今も留学をしている。

ボクも進路が決まった。

ボクも彼女も
100点になる人は
まだ見つけていない。

「どちらが先に見つけるか競争よ」

メールの文字で
彼女は意地悪く言う。
本心でないのは
知っている。

だけどボクは
この何とも言えない
いい香りの焼き芋を
意地悪く
メールしてしまおう。

ボクと友達の笑い声と。
潮風と。

テントウムシのくれた
偶然と必然に。
いまも感謝をして。