そこは、路地裏だった。 夜も更け、人気(ヒトケ)もあまりない路地裏を、月明かりだけが照らしている。 その月の光に導かれるようにして、男がふらりと迷い込んで来た。 彼は、今しがた友人との酒盛りを終えたばかりだった。彼は、酔っていた。しかし、意識ははっきりしていた。 街灯も何も無いが、月明かりのおかげで辺りは明るい。