一方、その頃。

スラム街の一角では、噂の『泥棒双子』が何やら話し合っていた。


「今日は何しようか、ルイス」

「何しようかって、いつも通りに仕事をするだけだ」

「うん、だから、何を盗もうかって言いたかったんだよ」

「エリーは何がいいの」

「うーん、やっぱりお金かなぁ。前に宝石を盗んだときに換金が大変だったから、いっそのこと現金を盗んじゃおうよ」

「……馬鹿」

「え〜、何で?」

「発想がまるで子供」

「ボク、子供じゃないよ。ルイスも同い年だからそのくらい分かるでしょ?」

「エリーのせいで俺は大人にならざるを得なかったんだよ。それより、現金盗むってさ、本当にやるの?」

「うん。やりたい」

「…即答…?」


どうやら今夜の犯行の相談らしい。

本当にそっくりな双子――エリーとルイスは、先程の会話から分かるように中身は正反対だ。
見かけは、瞳の色以外瓜二つ。見事な赤毛の肩までの髪に、同じような作業着を着ている。身長の差はあるものの、特に注意して見なければ見分けはつかない。

姉のエリー・シャルルは、褐色の瞳。明朗で、楽天家。
弟のルイス・シャルルは、翡翠の瞳。注意深く、皮肉屋。
そして、二人とも負けず嫌い。

一見凸凹だがお互いの欠けているところを補い合い、双子ということもあってか息もピッタリ、ナイスなコンビになっている。
シャルル姉弟は、盗みのときの鮮やかな手口で、裏社会の中でもそれなりに有名だった。