「……連続殺人事件?」


男の間の抜けた声が署長室に響き渡った。


「ああ、ここ数日で10人近く殺されている。現場の様子から、同一犯と見て間違いないだろう」

「はあ」

「で、君にはこの事件の捜査に当たってもらう。というより、捜査本部からの直々の指名だ」



連続殺人事件。

今この街では、一日に2〜3人という驚異のペースで人が殺され続けていた。
それに、殺され方もひどい。

血が、残っていないのだ。被害者の体内に、一滴も。

一面の赤と、真っ白な死体が街のあちこちで見つかるようになってはや数日。
この事件は人々に知れ渡り、彼らは犯人をこう呼んだ。

『吸血鬼(ヴァンパイア)』、と。