あ...ダメだ。 透和に触れた時、私の事は覚えてなくても暖かい手。 泣いちゃいそう...。 「わ、私、トイレっ!」 顔を見せないように、病室を飛び出した。 ...はぁ。トイレなんて。 なんて色気のない人だろう...。 「...あんた、なにしてんの?」 トイレの鏡で手を洗っていると、後ろから聞き覚えのある声がした。 「あっ、坂口さんっ!」 透和の熱狂的なファンの坂口さん。 いつも可愛くて可憐だけど、私への態度は冷たい。