「お前、俺の気持ち…知らなかったって、言わせないからな」

玲斗が突然、私の手を取った。

その手は、温かくて、優しくて、少しだけ震えてた。

「ずっと、ずっとお前のこと見てた。
 笑った顔も、泣いた顔も、バカみたいに恋に落ちてくお前の全部も――」

「俺は、見てた。…隣で、ずっと我慢してたんだよ」

心が、ぎゅっと締め付けられた。

(こんなの…ずるい)

けど、気づいたんだ。

この手、離したら――
きっと私は、後悔する。

「……玲斗、」

その一言を言おうとした時――

スマホが鳴った。

《凌:今から校門、来れる?話したいことがある》

世界が、またかき乱される音がした。