「遠距離、だね」

そう言った私に、玲斗は少し黙ってから、

「……そのつもりはねぇけど?」

って、ニヤッと笑った。

「え?」

「だから、俺…咲桜のアパートの近くに引っ越すわ。
 大学、通える距離だし。俺のバイト先も探してる」

「え、ちょ、待って、何勝手に同棲フラグ立ててんの!?」

「え、嫌なの?」

「そ、そーいうんじゃなくて……!」

顔が真っ赤になるのを自覚した瞬間、玲斗がポケットから何かを取り出した。

「これ」

小さな箱。開けたら、中には――シルバーのペアリング。