噂が広がってから、玲斗とちゃんと目を合わせられない日が続いた。

気づいてるのか、気づかないふりしてるのか、
玲斗はいつも通りで、いつも通り優しくて。
それが、逆に苦しかった。

「咲桜」

放課後、帰り支度をしていた私に玲斗が声をかけてきた。

「ちょっと、寄り道しない?」

断れなくて、うなずいた。

歩き慣れた帰り道のはずなのに、今日はやけに静かだった。
沈黙が重くて、言いたいことが喉に詰まる。

そんな私の手を、玲斗がそっと取った。

「……話、ある」

公園のベンチに腰かけて、玲斗は一度深呼吸してから言った。