「玲斗くんにはちゃんと伝えたよ。
 “あの頃”よりずっとカッコよくなったねって。
 そしたら彼、笑ってた」

心が、ギュッと掴まれる感覚。

「彼ね、昔は私のこと、ずっと好きだったの。知ってた?」

知らない。そんなの…聞いてない。

「まぁ、私にとっては“昔の続き”を取り戻すだけだけど――
 あなたにとっては、違うでしょ?」

「……やめてください」

震える声でそう言うと、瑠奈は肩をすくめて、

「本気で奪う気なら、これくらい言うでしょ?恋愛ってそういうもんでしょ」

と言い残して去っていった。

……足が、動かない。

(ほんとに…玲斗、昔その人が好きだったの?)

(私、今…比べられてるの?)