咲桜(さくら)、またフラれたの?」

クラスメイトの声が背後から聞こえてきた。
うるさいな…と、そう思って振り返った時。

「大丈夫だった?」
優しくて低い声が、心の奥まで染み込んでくる。

そこに立っていたのは、氷室玲斗。
誰よりも私のことを知ってる、私の…“過去”を見てきた男の子。

「べ、別に!幼馴染だからって関係ないでしょ!? 私の恋愛に首突っ込まないでよ!」

そう言い放ったはずなのに、玲斗はふっと微笑んだだけだった。

「俺には関係あるよ。お前のこと…何年傍で見てきたと思ってんだよ?」

胸が…ドクンと跳ねた。