ロクな彼氏ができない。

そう何度も呟いてきた。
浮気、音信不通、束縛――
恋するたびに、どこかで傷ついてきた。

「咲桜は見る目ないんだよ」
そう言って、苦笑するアイツの顔だけはいつも思い出せる。

氷室 玲斗(ひむろ れいと)――
物心ついた頃からずっと隣にいた“幼馴染”。

だけど、あの夏の日。
私の“普通の恋愛”は大きく狂い出すことになる。