季節は巡った。
あの澪からの告白を(ある意味)聞いた、中学三年生の秋から五ヶ月。



今は、僕も立派な高校一年生なり。
初夏の風がまだ寒い五月の半ばになっていた。

もちろん。


澪と同じ地元高校だ。



あれから、澪が誰かと付き合ったという話も、
あれから、澪の好きな人への気持ちも聞くことはなかった。
澪が話すこともなかった。



やっぱり、一時の気の迷いだったのだと思った。


そして、相変わらず僕は、澪と一定の距離感のままだった。
一定の距離感といっても、友達よりは深く、家族よりは浅いそんな距離感。
その距離感は、最高に居心地がいいものだった。


だって、それは、澪にとって一番の存在に代わりないのだから。