「落ち着いた?」



こくんと頷くと男は離れて行った。



「ここは新選組の屯所だよ。」



新選組…?



「僕は一番隊隊長の沖田総司」



ニコニコと微笑み私に手を差し出した。



あいつらの仲間?



だったら私にこんなに優しくするはずない。



けど、罠だったら?




差し出された手を掴み沖田という男の袖を捲り上げる



「え?」



驚く男を無視して腕を調べる




刺青は……ない。



「…どうしたの?」



「いえ、すみませんでした。」



私が謝ると驚いたように目を見開くと今度は嬉しそうに微笑んだ。



「やっとしゃべってくれた!」



私の手を掴みブンブンと振る。



「君、名前は?」



名前…必要なの?




名前なんて、あいつらは呼ばなかった…。




沖田さんは目を輝かせている。




「野宮 花乃です」




「花乃さん!よろしくお願いします。」



そういうと沖田さんは近藤さんに知らせなきゃ!と部屋を出て行った。



本名を呼ばれたのはいつぶりだろう…。




すぐにまた襖が開いて沖田さんと男が2人、がたいの良いいかつい男と眉間に皺を寄せた美丈夫が入ってきた。