side花乃


暖かい。



こんなに暖かいのはいつぶりだろう。



もう少し…



『お前は逃げられねぇよ。』



……っ!!



バッと飛び起きると見知らぬ部屋にいた。



ここは、どこ?



不思議に思い布団をじっと見つめた。



スッ



襖が開き、男が立っていた。




「え…。」



男は目を見開き驚いている。



「め、目が覚めたんだね!!」



そう言って私に向かって飛んでくる。



すぐに逃げようとしたが体に力が入らず動けなかった。



「すぐに動けないよ!3日も眠ってたんだから!」



3日…?



「君、道で倒れてたんだよ。覚えてる?」



私、あいつらのとこから逃げて。追いかけられて倒れて…



「…っ!あ…はぁ…はぁ……!」



あいつらのことを思い出して体が震える。




男は私の異変に気付き声をかけてくる。




「大丈夫!?」




「…いやっ!!」



思いきり突き飛ばした。



男は一瞬よろめいたけどまたすぐ近寄ってきた。



「大丈夫。僕は君を傷つけたりしないよ。」



そっと私を抱きしめる




「やっ…」




「大丈夫。大丈夫」




嫌なはずなのに呟かれる大丈夫という言葉と背中を撫でる暖かい手




優しく私を抱きしめる腕が心地よくて





いつのまにか震えは止まっていた。